昨日、私が通っていた指導者学校のレベル1とレベル2のフィジカルトレーニング論の授業に、撮影係として参加して来ました。
その授業の講師は、現在、リーガエスパニョーラ 1部のクラブの育成部門のフィジカルトレーニングの責任者をしています。
かつては、リーガ1部でフィジカルコーチとして働いていました。
私も今までこの学校の生徒として、レベル1、レベル3受講時に彼の授業を受けていたのですが、サッカーにおけるフィジカルトレーニングについて体系化されていて、話を聞く度に自分の頭を整理することができます。
また、指導者学校の授業の醍醐味は、教科書の理論上の話だけではなく、講師の経験談が聞けたり、生徒たちによる議論が白熱するところです。
その中で、彼が言っていた言葉にとても共感できる部分がありました。今回はその言葉を自分なりに咀嚼したいと思います。
判断、決断するとは?
サッカーは判断、決断を常に求められるスポーツです。
例えば、中盤の選手で判断がいいと言われる選手の例を挙げるとすると、
シャビ、イニエスタ、ブスケツ、遠藤保仁選手、小野伸二選手、中村憲剛選手、久保建英選手、などが思い浮かんできます。
彼らに共通していることは、頭の回転が早い、判断が早い、球離れが早いと言うこと。
では、なぜ彼らは判断が早いのか。
判断をする時には、
状況をみる(認知)→状況を分析する(分析)→決断する(決定)
という作業が頭の中で繰り返されます。
そして試合中、常に状況、局面は変化していきます。つまり1秒後には、状況がガラッと変わってしまうのです。
例えば、トップ下の選手がボールを持った時に、ウィングの選手がDFラインの背後へ抜ける動きをしたとします。
しかし、その動いた瞬間にパスを出さないと、1秒後には相手のサイドバックがラインを超されないように対応してきます。
そうすると、新たに解決策を探さなくてはなりません。
再び状況を認知→分析→決定の作業を頭の中で行ないます。
ここで頭に入れておかなければいけないのは、
サッカーは相互作用のスポーツであるということ。
要するに、1人の選手の認知→分析→決定の作業だけではサッカーは成り立ちません。
ウィングが動いたから、そこにパスを出す。
そこで以下のように定義することができます。
サッカーは「アクションーリアクションのスポーツである」と言うこと。
昔、小野伸二選手が18、19歳の頃のインタビューで、なぜダイレクトでパスができるのですかと言う記者の質問に対して、「誰でも見えてると思うんですけど、そこにパスを出せるかどうかだと思います。」と答えていたのを思い出します。
つまり、判断がよく、味方をうまく使える選手と言うのは、
周りの選手のアクションを認知して、その選手へのリアクションが早い選手なのです。
つまり、サッカーが相互作用で行われているという特性をよく理解した選手。
そして、そのリアクションの質が高い選手。
常にリアクションできる準備ができている選手。
常にリアクションできる態勢でいる選手。
これが中盤の選手でゲームを組み立て、パスの上手い選手と呼ばれる選手の特徴ではないでしょうか。
判断が遅い選手、サッカーが下手と呼ばれる選手とは、誰かが起こしたアクションに対してリアクションをしない、できない選手のこと。もしくは、リアクションをする準備の質が低い選手のこと。
誰かがアクションをしたのに、それを見ていなかったり、自分でドリブルで抜こうか、パスをしようか、多くの選択肢の中で、迷っていたりと様々な要因があげられます。
また攻撃においても守備においてもポジショニングが上手いと言われる選手達は、サッカーが相互作用で成り立っていて、「アクションーリアクション」のスポーツだと言うことをよく理解しています。
自分の味方、相手、ボール、ゴールがこの位置にあるから、自分はこう動く、このポジションを取る。動き出す、パスを出す。シュートする。ドリブルする。カバーする。
今まで挙げた例は、試合の一部を取り上げたものですが、サッカーでは、90分の試合中ずっと「アクションーリアクション」がさまざまな局面(個人対個人、グループ対グループ、チーム対チーム)、ポジションで絶えず繰り返されています。
この大前提をしっかり理解しておかないと、いくらボールを扱う技術が上手かったとしても、「サッカーが上手い選手」になることはできません。
したがって、サッカーが上手くなるために練習しようと思っている人は、少なくとも2人以上で練習することが大切です。